ふと書いてみたくなった,最近題名を知った論文の紹介・・・
●お題:新ドリアス期は洪水によって始まったのか?●
Wallace S. Broecker .
Was the Younger Dryas Triggered by a Flood?
Science, 312. no. 5777, (26 May 2006): 1146-1148.
コメント:Broecker & Dentonの論文を米倉先生のゼミで読んだのはM1かM2のときだったかな.妙に感心したことをよく覚えています.要するにThe Day After Tomorrowの世界の,過去(1.3~1.1万年前)の実際の話版. ただし,最終氷期が終わって急激に温暖化しつつある中で起こった寒冷化のことです.というわけで現代の気候とはちょっとセッティングが違う.それはともかくとして,この概説文では,最終氷期(氷河期とは言わない.念のため)が終わった後急速な温暖化が進む中で北米大陸のど真ん中にあったAgassizという名の湖の水が,いったいいつどこを通ってどこに消えてしまったのかという謎を紹介しています. 懐かしいテーマが,しかしまだまだ科学者を引きつける謎を十分秘めているというわけです.
●お題:IPCCの評価報告書ドラフトがネットで公開される(というか流出?)●
Jim Giles
US posts sensitive climate report for public comment
Nature, 441, 7089, 6-7, doi:10.1038/441006a
→目次
コメント:Natureの「NEWS」欄より(5/6号だからちょっと古いか).2ページ見開き.北極の氷を描いた大きなイラストが目を引きます.それはそうとニュースの内容はちょっとびっくり.IPCCの第四次評価報告書(4th Assesment Report, 略してAR4)はいまドラフト(暫定版)のレビュー期間中.まずは専門家へ,そして各国政府へ・・・というわけなのですが,米国政府はこれを一般公開してしまった!ニュースの内容に該当するのは,科学的根拠をもとに気候変動を論ずるワーキンググループ1(WGI)が担当した章のドラフトで,米国のClimate Change Science Program(CCSP)という機関がそのWWWサイトで当該ドラフトをダウンロードできるようにし,同時にコメント受付のアナウンスをしているというわけなのです(ついでにFederal Registerでも呼びかけしている). 現在では(コメント受付期間が終わったので)リンク切れになっていますが,それに変わって,WGIのつぎにドラフト回覧をしているWorking Group 2 (WGII.社会への影響を論ずる)について,同様のことをしているというわけなのです. 普通は政府は少数の専門家にコメントを求めるところ.IPCCにとっては寝耳に水(ちなみに,こんなコメントを出しています.ドラフトなんでまだ未確定部分がとても多いということに注意してね,といった内容). 米国政府には膨大なコメントが集まるでしょうが,そのうちどれを取捨選択するのでしょう.ちなみに各国からIPCCへのコメント締め切りは6/2です(最終的な出版・発表は2007年2月.→参考:WGI全体のタイムスケジュール).というわけでもうすぐですね.
●お題:Landsat-7 ETMデータを用いたチベット高原中央における地表面熱フラックスの空間分布および季節変化(の解析)●
Ma, Yaoming; Zhong, Lei; Su, Zhongbo; Ishikawa, Hirohiko; Menenti, Massimo; Koike,
Toshio , 2006 :
Determination of regional distributions and seasonal variations of land surface heat fluxes from Landsat-7 Enhanced Thematic Mapper data over the central Tibetan Plateau area.
J. Geophys. Res., Vol. 111, No. D10, D10305
→要旨
コメント:小池先生グループ相変わらずがんばってるな~
●お題:ケネディー宇宙センターにおける1997-2005年の大気電場(かな?)の観測:温暖化の影響と宇宙船による変化はともに見られず●
Harrison, Halstead 2006:
Atmospheric electric fields at the Kennedy Space Center, 1997-2005: No evidence for effects of global warming or modulation by galactic cosmic rays.
Geophys. Res. Lett., Vol. 33, No. 10, L10814
→要旨
コメント:10年以下の観測で温暖化の影響が出てくると予想したのだろうか?
●お題:グリーンランド氷床の減少が加速●
Thomas, R.; Frederick, E.; Krabill, W.; Manizade, S.; Martin, C. 2006:
Progressive increase in ice loss from Greenland
Geophys. Res. Lett., Vol. 33, No. 10, L10503
→要旨
コメント:1990年代半ばから加速したらしい
●お題:過去の気候記録から,地球温暖化と大気CO2濃度のポジティブ(正の)フィードバックを読み解く●
Scheffer, Marten; Brovkin, Victor; Cox, Peter M.
Positive feedback between global warming and atmospheric CO2 concentration inferred from past climate change.
Geophys. Res. Lett., Vol. 33, No. 10, L10702
→要旨
コメント:正のフィードバックの効果を過去の気候から直接評価しようとしているらしい
●お題:20世紀の米国における干魃の傾向●
Andreadis, Konstantinos M.; Lettenmaier, Dennis P. , 2006
Trends in 20th century drought over the continental United States
Geophys. Res. Lett., Vol. 33, No. 10, L10403
→要旨
コメント:いきなり大物登場.データセットは新たに作り直したのか,それともいままで(彼らが)作ったものを使ったのか? とりあえず干魃は減る傾向にあったそうですが,さて今世紀はいかに. ちなみにこの論文,2006/01/09投稿で掲載が2006/5/25.えらく早い.
●お題:急傾斜土石流発生域における水文地形プロセス●
Imaizumi, Fumitoshi; Sidle, Roy C.; Tsuchiya, Satoshi; Ohsaka, Okihiro
Hydrogeomorphic processes in a steep debris flow initiation zone.
Geophys. Res. Lett., Vol. 33, No. 10, L10404
→要旨
コメント:まさかそういう危険な場所で「実測」をしたのだろうか・・・ちなみにフィールドは静岡県・安倍川上流の大谷崩.
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